会計ひろば2
経営計画・事業計画の作成を支援
IT活用により予実管理を徹底する
 厳しい事業環境の中、経営の舵取りに不安を持つ中小企業の経営者は多いと思います。アークビジネスプランニングは「経営計画・事業計画作成支援」をコアビジネスに、経営者が抱える問題や課題を解決するための支援サービスを展開しています。
 中小企業の経営者にとって大切なことは、簡単にいえば、目標を示しそれを実現していくことです。そこで当社では、まず、経営者の方に会社にとっての「夢」や「ゴール」などの目標を設定していただきます。目標は会社の理想像であり「あるべき姿」です。当然、「会社の現状」との間には大きなギャップが生じるでしょう。そのギャップを埋めるためには、一歩一歩、着実に目標に向かうための事業計画が不可欠であり、それを私たちの支援のもとで共に作成していきます。
 現状、中小企業で目標設定と事業計画作成を行っている会社は少数です。しかし、目標設定や事業計画がないままの経営は、航海に例えれば、船が目的地を決めず、海図や羅針盤も持たずに海に出るのと同じこと。リーマンショック以前であれば、それでも何とか売上や利益を捻出できたかもしれませんが、今は海が荒れています。目標設定と事業計画策定は、今や経営者にとって最も重要な課題です。計画の策定には、経営シミュレーションソフトを活用し、中期5カ年事業計画書(SWOT分析、売上計画表、B/S、P/L、キャッシュフロー計算書など)を作成します。算定された中期目標の数値は、具体的な企業活動に反映しやすいよう、単年度目標、各月の予算計画に落とし込みます。その後の予実管理も毎月当社の担当者が経営の指南役として経営会議に出席し、実績値と予算のギャップを確認しながら助言や支援を行います。もし目標未達であれば、経営者とともに原因を究明し、ギャップを埋めるための改善策を策定します。なお、予実管理のために毎月の実績値を入力して管理するソフトには、奉行シリーズを採用しています。奉行シリーズは、経営シミュレーションソフトとの連動が非常にスムーズで、実績値をスピーディーに取り込み、各種の表や計算書に即座に反映させることができるからです。
 実績値の入力など会計処理は、顧客先に奉行シリーズを導入し、当社のシステムとインターネットを通じてセキュアな環境の下に連動させ、経営上の数値を共有することも有効です。リアルタイム共有により、問題発生時に即座に改善策を助言するなど、効果的なコンサルティング業務が可能になります。IT導入により業務の効率化を徹底し、コア業務に専念できる環境を整えることは、会計事務所やその顧客先の企業にとって、非常に効果的です。
事業計画作成は多くの企業で効果
派生する諸問題も提携戦略で解決
 事業計画作成実例を挙げてみましょう。ある地方の酒類メーカーでは、当社の支援により事業計画を立案し、10〜15%の売上増を目標に掲げました。しかし、目標値に届かなかったため、当社コンサルタントと改善の知恵を絞り、従来の代理店や二次卸に加え、消費者と直接接点のあるディスカウントストアへの販売も始めました。その結果、販路拡大で売上と利益が増加。販売先が増えることで配送ルートの効率化が図られ、物流コストの軽減も実現しました。このように実際に効果が出ている事例は数多くあります。また、経営者が夢やゴールを示し、実際に経営数値や実績値を社内で公表することにより、社員は自分たちが何をやればいいのか、何をやれば評価されるのかが一目瞭然になり、モチベーションアップにつながったという例もあります。
 当社は、各分野に精通したコンサルティング業者とアライアンスを締結し、ヒト・モノ・カネに関連する問題に対応できる体制を整えています。資金繰りに困っている会社であれば金融関係に強みを持つコンサルタントによるサービスを提供し、新商品開発戦略の策定に助言が必要ならば事業戦略が得意なコンサルタントが支援し、従業員の賃金問題を抱えていれば社会保険労務士が解決を図ります。経営計画・事業計画作成支援を軸に、企業活動の中で発生するあらゆる問題にも対応できることが当社の強みです。
「為替デリバティブ」による多額損失も救済
返還された資金で企業再生を図る
 経営者の方より受けた相談の中に本来の事業と関連性のない問題がありました。その背景や原因等を分析してみると金融機関との取引実態・契約等に問題があると判明。これを当社では資金繰りの問題としてとらえ、独自のサポート「為替デリバティブ取引損失救済サービス」を展開しています。2006年の頃から金融機関で販売された、通貨オプションなどの為替デリバティブ商品を契約した会社は、全国で1万9000社と言われ、昨今の円高を背景に、多額の損失に悩まされている経営者が増加しています。為替デリバティブの本来の目的は、輸出入を行っている企業が、外国為替取引の相場変動に伴う為替リスクを回避することですが、そもそも為替取引が必要な会社でなかったり、融資と抱き合わせであったり、円高で想定される最大損失額の明示がなかったりと問題のある契約も数多くあります。この場合、金融機関から損失分を取り返せる可能性があるのです。
 具体的な解決方法として、当社では金融ADR(裁判外紛争解決制度)を活用しています。金融ADRとは、金融取引で利用者と金融機関の間にトラブルが発生した場合、当事者以外の第三者(あっせん委員会等)が利用者などの申請に基づき和解案を示し、金融機関にその尊重を求める制度です。中立公正な専門家による解決、裁判より短期間、一部を除き無料というメリットがあります。ただし、あっせん委員会による事情聴取は一度だけで、即日決定が下されます。ポイントは、申請時に提出する「あっせん申立書」と事情聴取で、被害についてどれだけ合理的に説得力のある説明ができるかです。しっかりと精査してあっせん申立書を作成し、事前準備をして事情聴取に臨まなければ返還が認められることはまずありません。
 当社には、私が以前に金融機関の監査を数多く経験した関係もあり、金融商品の知識があるという強みがあります。また、会計的なアプローチにより、被害を客観的な数値に置き換えながら、あっせん委員会の心証を良くする申立書の作成、事情聴取の下準備を行うノウハウやスキルも持っています。金融ADRで実績を上げている会社が非常に少ない中で、過去6件に関与し、既に2件の和解案も獲得しています。そのうち1件は、中堅の自動車関連部品製造業者(年商30億円、従業員数35名)の案件で、損失額2億1千万円の40%に当たる8400万円の解約清算金の返還を実現しています。
 一方、為替デリバティブで含み損を抱えた企業は、債務超過を恐れ、決算書に時価会計で計上してこなかったケースが多く見られます。その場合、過去に遡って時価会計を適用し、毎年の損失を計上し直した決算書を作り、税務署に「更正の請求」を行うことで、払い過ぎた税金の還付を受けることもできます。つまり、金融機関と国から二重に資金を取り戻し、企業再生を図ることが可能です。各会計事務所の全顧客のうち1社は、このような金融取引の問題を抱えているとも言われているので、ぜひ当社のノウハウを提供できればと思います。
 今後、経営者が会社の存続や発展を真剣に考え、事業計画や経営計画を立てようとするニーズも増加し、それに付随するヒト・モノ・カネの問題もますます増えるでしょう。当社は、より安価で良質なサービスを提供するため、5年後に社員800人、年商100億円という目標を掲げ、その達成に向けて会社の規模拡大を図っていくつもりです。
Vol.25
2012年春号
「ASOSの会計ひろば」では、OBCが運営・管理する会計人パートナー制度に加入する会計人が登場!
自慢のサービスを紹介しながら、会計・税務&奉行シリーズに関するトピックを語っていただきます。
>滝澤 和政氏
代表取締役
公認会計士・税理士

滝澤 和政氏
(たきざわ かずまさ)
1988年、KPMG港監査法人(現あずさ監査法人)に入所。金融関係を中心とした会計監査や、広告代理店の株式公開支援業務に従事する。1993年には同ハンブルグ事務所で日系企業の会計監査、国際税務、コンサルティング業務にも携わる。その後同監査法人系列のコンサルティング会社で中小企業の税務・会計コンサルティングを経験し、2001年、独立開業。現在は、主に中小企業の企業組織再編、株式公開支援、タックスプランニング、財務改善等の経営再建コンサルティングに従事。アークビジネスプランニングのほか、滝澤和政公認会計士・税理士事務所、アークアウトソーシング株式会社の代表者も務める。
オフィス

アークビジネスプランニング株式会社

住所:東京都渋谷区東3-11-10 恵比寿ビル4階
TEL:03-5469-5355 FAX:03-5469-5350

2011年10月、事業計画や経営計画の作成支援をコアビジネスに、顧客の資金繰りや売上・利益の改善、ヒト・モノ・カネの諸問題の解決など経営課題をトータルでサポートする会社として設立。滝澤和政氏とKPMG時代に同期だった大筋治氏(公認会計士)の2人が代表取締役を務める。実際に中期5カ年事業計画書をその場で作成できる半日の経営者・後継者・経営幹部向けのビジネスプランニングセミナーを随時開催。グループ会社に、監査・税務業務を提供する「滝澤和政公認会計士・税理士事務所」、外資系企業向けに会計、税務、監査、給与計算等バイリンガルなワンストップサービスを提供する「アークアウトソーシング株式会社」がある。

●奉行EXPRESS 2012年春号より