会計ひろば2
労務管理の相談・支援を展開
100%会社側に立った提言
 皆さんは「社労士事務所」と聞いてどのような業務を思い浮かべますか? 一般的には従業員の入社から退職までに発生する労務管理に関する書類の作成、行政機関への届出業務といった顧問業務をイメージされるでしょう。もちろん竹内社労士事務所でも、こうした業務は提供していますが、それらに加えて、行政機関や外部労働組合(所謂ユニオン)への対応、賃金や退職金、労務トラブルに関するコンサルティング、“会社を守る就業規則”の作成など、顧問先の問題を解決する独自の労務管理サービス(USPは、100%会社側に立って問題の解決を図る社労士事務所)を行っています。この独自サービスに関連する情報提供や相談業務、支援業務が、竹内社労士事務所の顧問契約の柱であり、私たちの強みです。
 一方で、給与計算業務の受託、労働保険・社会保険の給付手続き代行などのサービスも展開しています。顧問先の規模では30〜100人の中堅・中小企業が圧倒的に多く、業種では、長時間労働で、従業員を多く抱えていて、業務災害の発生確率が高い、サービス業、飲食業、IT業、運送業、建設業、製造業などが多くなってきています。
 開業当初は、助成金のコンサルティングがメイン業務でした。助成金制度は雇用保険を財源とし、一定の手続きをして条件が合えば、返済不要の助成金を給付できる公的制度です。中堅・中小企業の経営者にとって、この助成金制度の活用は無視できないものです。
 助成金の給付を受けるためには、就業規則の変更が不可欠です。例えば1997年の労働基準法改正による労働時間週40時間制への移行、翌年の65歳までの定年延長、次の年の育児・介護休業の中小企業への適応などにおいて、国は政策誘導するために、法律に順じて就業規則を変更した企業に対して助成金を出しています。しかし、助成金を必要とする中堅・中小企業では、就業規則の見直しが重要視されていない、あるいは人手不足のために二の次になっているケースが多々あります。このことに気づきをもっていただき、その変更のお手伝いが私たちの使命でもあったのです。
就業規則変更で労務トラブル回避
解決ノウハウそのものを提供
 最近では、従業員と会社の労務トラブルが激増しました。解雇や残業代未払い、激務によるうつ病の発症など、従業員が弁護士や外部の労働組合の力を借りながら、金銭による解決を経営者に迫る労働事件が多発しています。
 大企業がこうした労働問題を解決するためには、多くの場合、過去の経験則から対応策を講ずることになります。しかし、そのような事例が少ない中堅・中小企業にとっては、問題発生の対応も防衛方法も解決法(落とし処)も分からず、顧問先以外の新規でのご相談企業が、慌てて私たちのところに、Webを通じて駆け込んでくることがよくあります。裁判や労働審判となれば弁護士が対応しますが、労務トラブル発生当初に弁護士に相談するには敷居が高いのが実情。そこで、私たちは労務トラブルに対応する解決ノウハウ自体を提供し、防衛策を講じ、解決を図ります。また、今後の予防のために就業規則を変更する提案をすることもあります。このような労務トラブルのうちで、退職に関する事項は、当事務所の顧問先でも一定数発生しており、今後も頻繁に行われる法改正の対応や、時代の流れによる従業員の働き方に対する意識変化、労働紛争に備えた就業規則による予防など、企業が行うべきことはたくさんあります。限られた人数の企業では、日頃から社労士との情報交換も重要です。
給与奉行や就業奉行により
顧問先のIT化・自計化も支援
 労働紛争では、起きたときの「解決」と起こさないための「予防」という2つの観点が必要です。中でも 最も多い紛争は、残業代の未払いと退職に関するトラブルです。予防するためには、給与計算や社会保険・労働保険の手続きを正確に記録することが重要な要素。ここ数年は、給与計算受託業務や保険の手続き業務の体制を充実させ、必要に応じて顧問先に提供しています。
 顧問先に対しては、給与奉行や就業奉行などの労務管理ソフトの導入も促しています。給与計算を受託している場合、私たちとのデータの共有が可能となり、顧問先は従業員の求めに応じてチェックしたり、データを加工したりするなど、業務に活かすことが可能になります。
 最終的なゴールは、顧問先の自計化です。顧問先は元来、給与計算などは自社で処理したいと考えていますが、人手が足りないなどの理由でアウトソーシングされています。給与奉行や就業奉行の導入などによってIT化すれば、計算の精度と効率は飛躍的に高まり、人数が少ない中でも自計化は充分可能になります。奉行シリーズは、法改正が頻繁な人事労務の分野でも内容が即座に反映され、帳票類が非常にわかりやすいので、誰でも安心して使うことができ、顧問先からも好評を博しています。
 また、操作方法を電話で説明したり、セミナーなどを通じてIT化の教育や指導もさせていただいております。今後は受託業務を一定の割合で確保しつつ、こうした助言業務、コンサルティング業務に徐々にシフトし、中堅・中小企業が自ら給与計算などを正確・スピーディーにできる体制を作るためのIT化、自計化のサポートをできればと考えています。
「社長を守る会」を設立・運営
労務トラブルから、会社や社長を守る
 私たちはこうして常に経営者の側に立って労務管理のコンサルティングを展開し、その延長線上で「社長を守る会」という会員組織も発足させました。この会では、電話による労務問題、労基署の臨検など緊急時の相談、労基法などに対する質問・相談などの顧問サービス、ニュースレターの配信などを提供しています。そのほか、ホームページの情報の充実、「就業規則作成マニュアル」や「会社を守るDVDシリーズ」の作成、「会社を守る就業規則徹底解決セミナー」、「労働基準監督署是正勧告対策セミナー」、「中小企業のための労働組合対策セミナー」などを当事務所4Fの研修室で毎月開催し、顧客向けの情報提供や教育研修、支援策に積極的に取り組んでいます(平成22年は、年間セミナーを35回開催し、参加企業は、北海道から沖縄県まで延べ446社、参加者は、699人でした)。
 近年、雇用の流動性、ネットにおける労務関連情報の氾濫、健康問題への関心などを受けて、会社と従業員の間にトラブルが起こるリスクが年々高まっています。中堅・中小企業でも労基署や外部労働組合(ユニオン)に駆け込まれ、ある日突然臨検の通知を受けたり、団体交渉を申し込まれたりするケースが増えています。
 そうした場合に備えて、従業員と会社との間の労働条件を契約書(就業規則等)という形で書面にて明確にすることが重要です。その場合に100%会社側に立った就業規則の見直しとの観点が労務トラブルの予防、防衛、早期解決を図る上で必要不可欠です。会社在っての従業員であり、会社が無くなれば、従業員は、ハローワークに行くことになります。会社が経営しやすい労働契約内容にすることが重要だと思います。もし緊急事態が発生した場合、私たちに連絡をいただければ、即座に状況を分析し、早期解決を図るための対応策を提示します。どのようなトラブルでも、最後には必ず解決します。当事務所は、労務トラブルから決して逃げず、体を張って必ず社長をお守りする自信を持っています。
Vol.20
2011年冬号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
竹内 睦
代表・特定社会保険労務士
竹内 睦
(たけうちむつみ)
竹内社労士事務所

●竹内社労士事務所(社長を守る会)

住所:東京都豊島区巣鴨1-19-12 八木下ビル
TEL:03-5940-6832
ホームページ:http://www.e-shacho.net/

1996年12月に開業。当初の2年間は、中堅・中小企業を対象に雇用関連の助成金制度の活用を支援するサービスを専業で展開する中で、重視されるべき就業規則の変更や作成業務に従事。その後、会社や社長の立場を守るための就業規則の変更・作成をメイン業務として前面に打ち出し事業を展開する。他の社労士事務所が手がけない分野に注力する戦略が奏功し、スタッフ20名を超え、就業規則の累計作成件数約1120社、顧客向け(スポット契約先含む)ニュースレター配信部数2800部/月、顧問契約先数約350社、事業収入2,000万円/月超えという実績を上げている。現在は就業規則関連業務のほか、人事労務コンサルティング、給与計算業務、労働保険・社会保険手続き業務などを提供する。

●奉行EXPRESS 2011年冬号より