会計ひろば2
徹底した現場主義が特徴。すべてオーダーメードで対応
 スバル合同会計は、業種・業態を全く問わず、一都六県にある個人事業主、小規模企業、中堅・中小企業約1,600社と顧問契約を結んでいる税理士法人です。この多数の顧客を、現在11名の税理士をはじめとする約80名のスタッフでサポートしています。顧客獲得は紹介が多いのですが、同時にダイレクトメールや代表の私を含めた全スタッフによる営業活動にも力を入れています。そういう意味では、業態は一般的な企業となんら変わるところはありませんし、企業であるという意識で私もスバル合同会計を経営しています。また、顧客満足度も高く、当社のサービスに不満があって解約となったケースはまれにしかありません。
 その満足度の源泉となっている5つの強みがあります。まず1つ目は徹底的に「現場主義」を掲げていることです。私は社員に社内で仕事をするな、現場に行きなさいと、ことあるごとに言っています。社長様には当社に来てもらうことは滅多にありません。各顧問先のオフィスや工場、厨房などに足を運んでこそ、悩みや本音をお話しいただけます。だから必ず現場に行き、できればその現場で解決してくるように指導しています。具体的には月に一度は必ず担当者が顧問先を訪問するようにし、前月の試算表などを見ながらリアルタイムの情報を交換します。そして、月額顧問料も振り込みではなく、その場でいただきます。つまり、訪問しなければ顧問料をいただけない仕組みです。これは、考えてみればアナログの最たるもので、効率的、合理的ではないかもしれません。しかし、この仕組みが毎月訪問するきっかけとなり、結果的に顧客からの信用につながっているのです。
 2つ目は「オーダーメード」のサービスを提供していることです。当社の顧問先は、個人事業主の大工さんから数百人規模の中堅企業まで規模がさまざまです。業種・業態も飲食、建築、理容・美容をはじめ、数多くの分野の企業と契約しています。顧客のニーズは多種多様なため、そのニーズに合わせた対応が求められます。例えば、領収書の整理をお願いされれば、一枚一枚糊付けし、帳簿の記入を希望されれば要望に応えます。もちろん経営やファイナンスの相談にも乗っています。また、会計ソフトの導入に際しては、会社にあった適切なものをお選びし、ソフトが導入済みでしたら、無理に変えたりせず、お持ちのソフトで出来る運用をアドバイスします。顧問先が税理士事務所のやり方に合わせるのではなく、顧問先のニーズに合わせて事務所がご支援方法をオーダーメードするのです。
オールマイティに対応する税理士集団。
それぞれに得意分野も持つ強み
 3つ目の強みは、スタッフの「オールマイティ化」です。当社のスタッフは、特定の業種・業態を専門とすることはありませんし、担当する規模やエリアも決めません。あらゆるジャンルの企業を担当しています。さらに1つの企業は2?3年担当したら、別のスタッフに引継ぎをして交代しています。そうすることで、企業とスタッフの癒着を回避するだけでなく、その企業を知るスタッフが社内に複数いることになり、顧問先の安心感にもつながります。スタッフにとってもさまざまな経験を積めるので、自然とオールラウンドに対応できる力がついていきます。
 各分野の「エキスパート」が所属していることも大きな特徴で、これが4つ目の強みです。現在11名の税理士がいますが、それぞれ専門的なバックグラウンドがあり、合併や企業再編の専門家、融資、保険、資産運用など、それぞれ得意分野を持っています。そのため、顧問先からのあらゆる要望に対応できます。規模的に大きな企業をサポートする場合でも、エキスパートをチームリーダーとして5?6人でチームを編成し、他社にはない強力な体制を整えることが可能となっています。
 そして、5つ目の強みが「ワンストップサービス」の提供です。当社の関連会社に株式会社CANがあり、所属する司法書士、行政書士、社労士などが税理士とタッグを組み、さまざまな案件に対しワンストップで対応することができる仕組みになっています。つまり、オールマイティな力を持ち、特定分野のエキスパートでもある税理士と各専門家が常駐することにより、本当の意味でのワンストップサービスを展開しています。
電子申告への切り替えを支援。会計ソフトによる自計化も推奨
 当社が行うオーダーメードのサービスでは、顧客のニーズに合わせるだけでなく、ご提案する機会も多くあります。その1つが電子申告です。電子申告は国の政策として導入が進んでおり、いずれは切り替えざるを得ない状況になると考えています。そのような現状であれば、早く導入するに越したことはありません。当社と契約すればすぐにでも電子申告に切り替えられる手続きをサポートしています。
 また、特に若い経営者の方にアドバイスしたいことが会計業務の自計化です。かつて財務諸表や計算書は、税務署や銀行のために作るものという意識が強くありましたが、今は経営戦略を練るために必要不可欠なツールとして活用されています。すなわち、経営者本人が関心を持ち、このような経営指標となる数字の動向を基に経営戦略を立てることが重要です。そのためにも会計ソフトの導入は便利なツールと言えるでしょう。企業規模や特性に合った会計ソフトを選ぶことが重要ですが、ある程度の規模に成長した企業にとって奉行シリーズは、第一に選択したい会計ソフトのひとつです。顧問先には、機能性や利便性を考えて、奉行シリーズを採用したいという顧客は非常に多く、また最初は別のソフトを使っていても、ある程度会社の規模が大きくなると、奉行シリーズに変えるケースが大半です。そして自計化によって数字が見られるようになったら、そのデータをベースにファイナンスや経営計画を税理士に相談すれば、より綿密なプランを立てることができるでしょう。
M&Aにより全国展開を推進。7年後に顧問先を4,000社に
 スバル合同会計では短期的な目標として、全国各地に事業を拡大していく計画を立てています。長期的な目標としては「100年続く税理士法人にすること」を掲げており、具体的なプランとして、2年後には顧問先を2,000社、スタッフを100名に増やし、さらに今から7年後には顧問先を4,000社、スタッフを200名に倍増させます。そのために、スタッフ全員が営業担当として新規クライアントの獲得をルーチンワークとして日々取り組んでいます。
 しかし、そういった地道な努力だけでは目標数字を達成することは難しいのが現状です。そこで本格的に力を入れ始めているのが、地方都市にある税理士・会計士事務所に対するM&Aです。このM&Aによって、スバル合同会計の理念を全国に広めることができるだけでなく、関連事務所を展開することで結果として業務を拡大することにつながります。この計画の足がかりとして立ち上げた長岡事務所は順調にクライアント数を伸ばしています。今後、承継に不安を持っている全国の税理士・会計事務所の方がいれば、積極的に交渉していきます。
 顧問先である事業主の方や経営者の方を支援していくことはもちろん、全国の税理士や会計士にとっても新しいビジネスモデルとなるよう、今後もさまざまな取り組みの強化を図っていきます。
Vol.14
2009年夏号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
垣本栄一
代表社員・税理士
垣本栄一
(かきもと えいいち)
税理士法人 スバル合同会計

●税理士法人 スバル合同会計

東京都千代田区神田佐久間町3-16
TEL:03-3862-0486 FAX:03-3862-0485
ホームページ:http://www.tax-adviser.gr.jp/

2006年、税理士法人スバル合同会計として設立。08年12月には、地下鉄・JR秋葉原駅徒歩数分の東京都千代田区に移転し自社ビルを構える。顧問契約している企業は一都六県に広がり、飲食や建築をはじめ、多分野の個人事業主、小規模企業、中堅・中小企業をクライアントとし、その数は約1,600社にも上る。事業の全国展開を見据え、その皮切りとして長岡事務所を設立。今後、全国の税理士・会計士事務所に対するM&Aを積極的に行う計画。

●奉行EXPRESS 2009年夏号より