会計ひろば2
中小企業支援を志に起業
 平成19年度税制改正は、減価償却の償却可能限度額の撤廃や償却年限の短縮などで、減税効果は一定の成果を出しつつあると思います。ただし、「中小同族会社の留保金課税」(資本金1億円以上の企業が対象)や「特殊支配同族会社の役員給与の損金不参入」、複雑な消費税法など、まだまだ改善すべき課題が多く残っているのではないでしょうか。税の公平化・簡素化の観点から、そして何よりも日本の法人の大部分を占める中小企業の成長支援のためにも、さらなる法整備が進むことを期待しています。
私は学生時代に20数種類のアルバイトを経験して多くの職場を肌で体験してきましたが、中でもヒト・モノ・カネという経営資源の少ない中小企業経営の難しさを痛感しました。1980年の石渡会計事務所の創業、そして2006年の税理士法人アイ・パートナーズの設立は、中小企業の成長・発展を少しでもお手伝いしたいという一貫した思いがあるのです。
もっとも、1980年に横浜市鶴見区で創業した当時は、私自身が地盤も看板も資金もないという状態でした。鶴見区は現在も多くの大企業がある京浜工業地帯の中核で、関連の中小企業も多く存在します。東京都心や神奈川県内へのアクセスも良い土地なので、税理士事務所の数も多く、市場は寡占状態で、創業当初は顧問先獲得に奔走していました。
時にはお客様の「耳が痛い」ことも提言
 そんな折、ある方から病院の院長先生を紹介してもらいました。お会いして税務についてのお話しを伺っているうちに矛盾点に気づき、それを指摘すると先生は大変ご立腹されました。後日、先生からお電話をいただき、「この間は申し訳なかった。君の考えが正しい」とおっしゃっていただきました。それ以来、院長先生には大変信頼を寄せていただき、さらに、別の病院も多く紹介していただくことになりました。現在アイ・パートナーズの業務の大きな特徴となっている医業支援は、この先生とのお付き合いから始まったのです。
現在アイ・パートナーズでは、患者アンケートを通しての改善のお手伝い・スタッフ教育・開業支援など幅広く行っています。税務を中心とした企業経営へのコンサルティング業務という意味では、医療機関に限らず中堅・中小企業を中心に積極的に行なっています。「将軍の日」という経営者向けセミナーの開催や起業支援、相続を始めとする事業承継などについて、アイ・パートナーズグループがそれぞれの役割を活かしながらお客様のニーズにお応えしています。
私たちがお客様に接するときに一番に心がけていることは、できるだけ忌憚のない意見を提言することです。税務・経営支援のプロフェッショナルとして真にお客様のお役に立つために、創業当初の気持ちを忘れないようにしています。
企業経営者のための総合病院として
 現在アイ・パートナーズグループは、税理士法人アイ・パートナーズ、株式会社アイ・ブレーン、行政書士 石渡宏道事務所、株式会社アクティブの4社体制を敷いています。お客様に対しては個人対応ではなく組織対応へとシフトし、担当者個人の力量に頼るのではなくグループの特性を活用すること、病院に例えるならば総合病院という考え方で、多様化・高度化するニーズにお応えできる体制を整備しつつあります。
そのためにまず、週二回集まって顧客台帳の見直しと、真のニーズを探るために、お客様の深堀りを行っています。台帳はいわばお客様の「カルテ」です。誰が見ても患者さんの現状がわかり、わずかな変化を見逃さずに迅速な処置が取れるようにしなければいけません。状況が悪化してから対応策を講じる「対処療法」ではなく、「予防療法」としての経営アドバイスが必要であると考えています。具体的には月次決算のスピードと正確さを高め、お客様が判断に必要な材料を揃えた上で、適切なコンサルティングを行うことが重要です。
先ほど病院経営ではマーケット・インの発想が必要と申しましたが、それは税理士業も同じかもしれません。こうした社内改革を継続して行い、お客様にとって最良のパートナーであり続けられるよう、これからも努力を重ねていきたいと思います。
Vol.07
2007年秋号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
石渡 宏道氏
代表
税理士
石渡 宏道氏
(いしわたひろみち)
石渡 哲哉氏
副代表
税理士
石渡 哲哉氏
(いしわたてつや)
税理士法人アイ・パートナーズ

●税理士法人アイ・パートナーズ

住所:横浜市鶴見区中央2-13-18
TEL:045-503-2841
ホームページ:http://www.aip-f.com/

税理士法人アイ・パートナーズは、1980年に石渡会計事務所として創業以来、医療機関において多くの実績と高い信頼を築いています。2006年には税理士法人アイ・パートナーズ(会計・税務・MAS監査等)、株式会社アイ・ブレーン(医業経営コンサルティング・資産保全業務・FP業務等)、行政書士石渡宏道事務所(建設業の許認可・法人設立・遺産分割協議等)、株式会社アクティブ(経理システムの構築・セキュリティシステムの導入/運用・企業広告・企業セミナーの企画運営等)によるアイ・パートナーズグループを形成。長年にわたり培ってきた医業支援のノウハウを基盤に、税務にとどまらない総合コンサルティング業務を展開しています。

●奉行EXPRESS 2007年秋号より