会計ひろば
第1回目は、税務に関する講演でご活躍し、経営コンサルティングに定評のある東京メトロポリタン税理士法人代表の北岡修一先生に、2006年に施行される新会社法の注目点についてお聞きしました。
 2006年5月を予定として新会社法が施行されますが、これにより起業が盛んになることが予想されます。施行前にあった「最低資本金制度」が撤廃されることで、「資本金が1円でも設立できる」ようになるからです。株式会社が多様化され、新しい組織形態も誕生するため、企業の形態や規模、業務内容などにより様々な会社が生まれることでしょう。
気をつけなければならない点として、新会社法では、取締役は1人でもよいことになりますが、平成18年度税制改正大綱で、一定の条件でオーナー企業と認められるような場合には、オーナー社長の給与所得控除相当額が税務上の損金不算入となり、法人の利益に加算される、という改正があります。既存企業においても適用されますので、改正後は、対策を行わないと税負担が多くなってしまうことになるでしょう。
既存の有限会社からは「有限会社法がなくなるが、株式会社に変えたほうがいいか?」という質問が寄せられています。有限会社は300万という資本金の信用力がありますし、決算公告不要や役員の任期なしなど、有限会社の特典を享受できるのは、メリットとして大きいと思いますから、現状では特別な理由がなければ変える必要はないと思っています。
また、全ての会社に関連するものとして計算書類の変更があります。貸借対照表・損益計算書それぞれに変更がありますし、新たに「株主資本等変動計算書」という計算書類を作成する必要があります。しかし奉行シリーズをお使いの方は、プログラムの更新により作成が可能になりますから、心配する必要はないですね。
また、新会社法は、柔軟な機関設計が可能ですから、既存企業は役員をはじめとした組織設計を見直し、会社の実態に即した「本来あるべき姿」に変えていくことが重要だと思います。さらに、増減資や資本の部(純資産の部に変更)の中での変動が柔軟に行えるようになります。また、経営者からの借入金を資金の移動なしで資本に振り替えたり(現物出資)することも簡単になります。欠損金がある場合などは、現物出資(増資)をした後、減資をして欠損補填することなども簡単にできるようになります。これらにより、自己資本比率を改善させれば、バランスの良い貸借対照表にすることが可能です。このような対策は現在の貸借対照表を確認した上で、ご提案させていただいております。貸借対照表は、経営者が意識的に将来像を見据えながら変えていくことが可能であり、また大切なのです。
新会社法やそれに付随した「中小企業の会計に関する指針」などにより、「会計が武器になる時代」になってきた、ともいえます。株式会社では、決算公告が厳しくなっていく可能性がありますが、逆手にとって、自社の財務内容をアピールするチャンスかもしれません。また、会計参与という新制度も加わります。会計参与を設置した会社の決算書は、公開会社と同じくらい信用を得ることができるでしょう。
このようなことから、経営者の方には是非とも会計や数字に強くなって欲しいと思います。成長発展する会社の経営者は、例外なく数値に強い、あるいはこだわりを持っています。当事務所としては、経営判断のための数値を、社長と同じ理解のもとに共有する関係が重要と思っています。経営者が自ら判断し会社の進むべき方向を示すことが「あるべき経営者の姿」であると思います。また、小規模な会社であれば「シンプルな経理」を目指し、経営判断に必要な数値をできるだけ早期に作成する環境が必要でしょう。当事務所併設の(株)クイック経理では、経理のアウトソーシングや奉行シリーズの導入・運用サポートなども行っており、経理をもっとシンプルにしたい会社のお力になれることと思います。
会計事務所は、中小企業の相談窓口=ポータルカンパニーであり、困ったことが起きた時に、真っ先に相談していただける存在になりたいと思っています。法人、個人、規模の大小問わず、ぜひお気軽にご相談ください。
Vol.01
2006年春号
企業を支援し、活動する職業会計人を迎え、時流にあわせた業務に関する話題についてポイントや詳しく知りたい部分を毎回紹介していきます。
北岡 修一氏
税理士
北岡 修一氏
(きたおかしゅういち)
税理士25歳という若さで独立を果たし、税理士業務のほか経営コンサルティングにも定評がある。
東京メトロポリタン税理士法人

●東京メトロポリタン税理士法人

住所:東京都西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー4F TEL:03-3345-8991
ホームページ:http://www.tm-tax.com/

●株式会社クイック経理

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ホームページ:http://www.tm-tax.com/

北岡氏が代表を務める東京メトロポリタン税理士法人は、経理・税務・起業など企業経営を幅広くサポート。また、株式会社クイック経理では主に勘定奉行を使用した経理のアウトソーシングや導入コンサルティングを実施。あらゆる企業ニーズに対応できる体制となっている。
北岡氏自らが執筆発行する無料メールマガジン「実戦! 社長の財務」(通算119号※2006年2月17日現在)は、5,600名が登録するなど人気を博している。
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●奉行EXPRESS 2006年春号より