連載企画3:オンプレミスの特長と適した利用・運用サーバの選択肢を増やして将来に向けた自社のサーバ環境を構築
リプレイス システムやハードウェア、ソフトウェアなどを、新しいものや同等の機能を持った別のものに置き換えること。
オンプレミスについて知る! オンプレミスの種類とは?
オンプレミスとは一般に、「物理サーバの自社運用」を言います。物理サーバとは、コンピュータが搭載されたサーバそのもの(ハードウェア)で、オンプレミスとはつまり、「サーバ本体を自社に設置して、自社で管理して稼働させること」です。
クラウドが広まる以前、サーバと言えば多くはオンプレミスを指していました。まずは、物理サーバについて確認しておきましょう。
物理サーバは、設計と形状をそれぞれ分類することができます。まずは設計です。設計は大きく分けて「エンタープライズサーバ」と「PCサーバ」の2つがあります。エンタープライズサーバは、データセンターなどで使われるような非常に高価なサーバで、専門に設計されたハードウェアで構成され、大量のデータを高速に処理することができます。一方PCサーバは、基本的には一般的に使われるパソコンと同じ設計のサーバで、エンタープライズサーバに比べて小型で、オンプレミスでは、このPCサーバが主流です。
次にサーバの形状を見てみましょう。主な形状をタイプ別に分類すると、「タワー型」「ラック型」「ブレード型」になります。その中でよく使われているのがタワー型で、パソコンと同じ形状をしています。ラック型は平たい形をしており、電子機器収納専用ラックに設置するのに適した形状です。ブレード型はサーバとして必要な部分をブレード(刀という意味)に集約し、電源やネットワーク接続のためのインターフェースを備えたエンクロージャと呼ばれる筐体(きょうたい)に差し込んで使います。それぞれ特長があり、オンプレミスの基本的な形状であるタワー型は、初めて企業が導入するサーバとして選ばれる傾向にあり、パソコンと同じ形状で使い慣れやすく、管理や持ち運びも便利です。1台のサーバで十分という小規模な事業所に適していると言われています。ラック型は複数台のサーバがあってもラックに積み重ねていけばよいため、スペースが確保でき、サーバを増やしていく予定のある企業に便利です。ブレード型は、大規模な処理能力を必要とする企業や、データセンターの構築を計画している企業に適しています。
形状 特長 どのような企業に
適しているか
タワー型
(タワーサーバ)
・小型のものは持ち運びに便利
・データルームなどの専用スペースを用意する必要がない
・購入後すぐに設置できる
・経済的に購入できる
・管理がしやすい機能が搭載されている など
・初めてオンプレミスを導入する企業
・専任者がいなくても運用しやすい設計で、兼任者が管理する企業
・最低限の機能のみ利用する企業
・従業員数が少ない中小企業 など
ラック型
(ラックサーバ)
・平たい形状をしたサーバで、複数台でも効率よく省スペースで収納できる
・場所を気にせず、サーバを柔軟に増やしていけるなど
・たくさんのサーバを使う予定のある企業
・今後事業拡大や従業員数の増加を見込む企業など
ブレード型
(ブレードサーバ)
・電源、インターフェースなどを共有することで、維持コストの削減や、部品交換を容易化できる
・サーバをよりコンパクトにできるため、多くのサーバを設置でき、データを高速に処理できるようになる など
・タワー型やラック型のサーバが増えて、スペースを確保できなくなった企業
・部門間のサーバを統合したいと考えている企業
・大量のデータを高速で処理する企業 など
オンプレミスの利用メリットは? クラウドとの使い分けがポイント
オンプレミスの利用メリットはどこにあるのでしょうか。現在、サーバではクラウドにフォーカスされる傾向にありますが、オンプレミスにも業務スタイルや業務シーン、企業の求める要望の内容によって様々な利点があります。

他にも使い方によっていろいろなメリットが生まれます。自社はサーバに何を求めるのか、サーバを使って何をしたいのか、将来的な展望はどのようなものかなど、様々な角度からの検証が必要になります。
では、オンプレミスとクラウド、一体どちらを選ぶのがよい選択となるのでしょうか。その答えは「オンプレミスとクラウドの使い分け」にあります。実際、ある企業では「基幹業務システムは自社で管理したいのでオンプレミス、他のアプリケーションは自由度が高く、すぐに稼働でき、常に最新版を利用できるクラウドで運用している」というケースもあります。オンプレミスとクラウドの特長や使い勝手を十分理解し、「自社ではどの場面でどのようなサーバを利用するのが賢いか」を考えることがポイントです。
●奉行EXPRESS 2016年秋号より [ →目次へ戻る ]