リプレイス ★
システムやハードウェア、ソフトウェアなどを、新しいものや同等の機能を持った別のものに置き換えること。
オンプレミスとは一般に、「物理サーバの自社運用」を言います。物理サーバとは、コンピュータが搭載されたサーバそのもの(ハードウェア)で、オンプレミスとはつまり、「サーバ本体を自社に設置して、自社で管理して稼働させること」です。
クラウドが広まる以前、サーバと言えば多くはオンプレミスを指していました。まずは、物理サーバについて確認しておきましょう。
物理サーバは、設計と形状をそれぞれ分類することができます。まずは設計です。設計は大きく分けて「エンタープライズサーバ」と「PCサーバ」の2つがあります。エンタープライズサーバは、データセンターなどで使われるような非常に高価なサーバで、専門に設計されたハードウェアで構成され、大量のデータを高速に処理することができます。一方PCサーバは、基本的には一般的に使われるパソコンと同じ設計のサーバで、エンタープライズサーバに比べて小型で、オンプレミスでは、このPCサーバが主流です。
次にサーバの形状を見てみましょう。主な形状をタイプ別に分類すると、「タワー型」「ラック型」「ブレード型」になります。その中でよく使われているのがタワー型で、パソコンと同じ形状をしています。ラック型は平たい形をしており、電子機器収納専用ラックに設置するのに適した形状です。ブレード型はサーバとして必要な部分をブレード(刀という意味)に集約し、電源やネットワーク接続のためのインターフェースを備えたエンクロージャと呼ばれる筐体(きょうたい)に差し込んで使います。それぞれ特長があり、オンプレミスの基本的な形状であるタワー型は、初めて企業が導入するサーバとして選ばれる傾向にあり、パソコンと同じ形状で使い慣れやすく、管理や持ち運びも便利です。1台のサーバで十分という小規模な事業所に適していると言われています。ラック型は複数台のサーバがあってもラックに積み重ねていけばよいため、スペースが確保でき、サーバを増やしていく予定のある企業に便利です。ブレード型は、大規模な処理能力を必要とする企業や、データセンターの構築を計画している企業に適しています。
形状 |
特長 |
どのような企業に
適しているか |
タワー型
(タワーサーバ) |
・小型のものは持ち運びに便利
・データルームなどの専用スペースを用意する必要がない
・購入後すぐに設置できる
・経済的に購入できる
・管理がしやすい機能が搭載されている など |
・初めてオンプレミスを導入する企業
・専任者がいなくても運用しやすい設計で、兼任者が管理する企業
・最低限の機能のみ利用する企業
・従業員数が少ない中小企業 など |
ラック型
(ラックサーバ) |
・平たい形状をしたサーバで、複数台でも効率よく省スペースで収納できる
・場所を気にせず、サーバを柔軟に増やしていけるなど |
・たくさんのサーバを使う予定のある企業
・今後事業拡大や従業員数の増加を見込む企業など |
ブレード型
(ブレードサーバ) |
・電源、インターフェースなどを共有することで、維持コストの削減や、部品交換を容易化できる
・サーバをよりコンパクトにできるため、多くのサーバを設置でき、データを高速に処理できるようになる など |
・タワー型やラック型のサーバが増えて、スペースを確保できなくなった企業
・部門間のサーバを統合したいと考えている企業
・大量のデータを高速で処理する企業 など |
オンプレミスの利用メリットはどこにあるのでしょうか。現在、サーバではクラウドにフォーカスされる傾向にありますが、オンプレミスにも業務スタイルや業務シーン、企業の求める要望の内容によって様々な利点があります。
他にも使い方によっていろいろなメリットが生まれます。自社はサーバに何を求めるのか、サーバを使って何をしたいのか、将来的な展望はどのようなものかなど、様々な角度からの検証が必要になります。
では、オンプレミスとクラウド、一体どちらを選ぶのがよい選択となるのでしょうか。その答えは「オンプレミスとクラウドの使い分け」にあります。実際、ある企業では「基幹業務システムは自社で管理したいのでオンプレミス、他のアプリケーションは自由度が高く、すぐに稼働でき、常に最新版を利用できるクラウドで運用している」というケースもあります。オンプレミスとクラウドの特長や使い勝手を十分理解し、「自社ではどの場面でどのようなサーバを利用するのが賢いか」を考えることがポイントです。