スペシャル・コラム:特許
各分野のスペシャリストによるコラムをご紹介します。
 
知財活用
会社名:IPトレーディング・ジャパン株式会社
投稿者名
:梅原潤一
知的財産が今ホットである。きっかけは2002年 7月に公表された「知的財産戦略大綱」であり ...
 
知的財産が今ホット
知的財産が今ホットである。きっかけは2002年 7月に公表された「知的財産戦略大綱」であり、一年後の本年7月8日には「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」が正式決定され、具体的な展開へと政府主導の下進められている。また、企業サイドも2003年2月に公表された「知的財産報告書」を導入する企業が15社程度現れ、保有する知的財産権を見直す動きが出てきた。
これまで、その価値や活用について日常的に議論されることの少なかった知的財産であったが、改めてそれが企業活動において極めて重要な地位を占める資産であるということが認識されたわけである。
一方、株主の投資判断にも重要な指標を提供する知的財産がバランスシートに十分に反映されていないことは考えてみると不思議なことである。たとえば、外部から購入した特許権は購入代金が特許取得価格として無形固定資産に計上されるが、従業員の職務発明のように自社開発のものはほとんどが資産計上されていないのが現状であろう。この点は今後大きく見直されるとは思うが、現時点では、少なくとも経営効率を検証するためにも知的財産を「経済財」として把握することにより、その投資効率を分析する必要がある。特に、特許権を維持するために1件2?300万円以上も要することを考えると、現在保有している権利がすべて本当に価値ある資産といえるのかは甚だ疑問といわざるを得ない。しかし、頻発する特許係争を考えると安易に捨てるわけにもいかないといったジレンマがある。そこで、従来の権利確保・攻撃防御中心の特許管理から経済性をも考慮した新たな特許管理が必要となるのである。
このように、「特許の棚卸」は重要な経営資源の一つである知的財産管理に不可欠の課題であり、かつ、政府の掲げる「知的財産立国」を実現するためにもこの作業がきちんとなされていなければならないのである。

〜続く