スペシャル・コラム:税制
各分野のスペシャリストによるコラムをご紹介します。
 
おさえておきたい消費税の改正点 その5
会社名:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ
投稿者名:税理士  取締役 鈴木 寛
総額表示の義務付け
 
事業者が最終消費者に対して
提供する商品やサービスについて、消費税を含めた総額表示の義務付け
現在、価格の表示方法については「税込み」「税抜き」の両方が混在し、消費者にとってはわかりにくいとの声があります。
この問題に対処するため、消費者に対してあらかじめ商品やサービスなどの取引価格を表示する場合には、消費税額を含めた価格の表示が義務付けられることとなりました(税抜金額+消費税額というような表示も可)。因みに、商品の価格表示で、関東の980円(キュウハチ商法)・関西の953円(クゴサン商法)とよく比較されますが(いずれも税抜きの金額)、平成16年4月1日からは消費税を加算した金額で表示しますので、関東1,029円・関西1,000円と各々表示されることとなり、関東の980円という価格設定にはあまり意味がなくなってしまいます。
なお、総額表示は消費者に価格をあらかじめ表示して消費判断に役立てることを趣旨としていますので、値札・店内掲示・チラシ・カタログなどはその対象となりますが、レシート(領収書)や請求書は消費者において消費の意思決定がされた後に発行する書類であることから総額表示の必要はありません。
総額表示制度の導入は、消費者が物品の購入やサービスの提供を受けるにあたり、全部でいくらかかるかをわかりやすくするためのものという大義名分がありますが、一方で、総額表示が浸透すると別途消費税を支払うといった意識が薄れることから、将来の消費税率アップをにらんでの地ならしでは(実際に欧州諸国では消費税率が20%台の国が多く、多少の税率アップはさほど政治問題とならない)、、、との意見もあります。