チームワークで不況を乗り切ろう!(3)

会社名
サイボウズ株式会社
投稿者名:代表取締役 青野 慶久
サイボウズ株式会社  代表取締役 青野 慶久
 
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危機管理!いざというときこそチームワークが大切


「炎上」は、ネットの中だけの話ではありません

情報があると落ち着いた判断ができるといいますが、決してそんなことはありません。
むしろ、最近はインターネット上のブログなどでは、ちょっとしたトラブルでいわゆる「炎上」と呼ばれる事態となり、瞬間にエスカレートするようです。

しかし、「炎上」しているのは、なにもインターネット上だけではありません。
サブプライムショックでは、あっという間に世界的な大企業が、連鎖的に倒れてゆき、世界中の株式資産が1週間に何割も下がっています。
金融の世界ばかりではなく、例えば食品の安全性にかかわる問題や鳥インフルエンザなど、ひとつのニュースが瞬く間に大きな問題へと発展して、関係する企業の根底を揺るがすような事態がたびたび起こるようになりました。

情報を「炎上」ではなく、「冷静」な対処へと持ってゆく方法は、その正確性と解決への明確な方針だと思います。

緊急事態こそロジカルチームワーク

そして、もし突然の危機に対処しなくてはいけなくなったときは、そのときこそ「チームワーク」の出番です。
前のコラムで紹介しました「ロジカルチームワーク」の考え方では、チームワークの順序を以下のように定義しました。
緊急事態への対処のときはまさしく、この順序でいかに早く問題解決へ導くかが、企業の浮沈を決めてしまいます。

1.誕生期(人が集まる)
まずは人が集まって集団ができます。しかし、集団はまだ目的を共有していないためチームではありません。

2.混乱期(信頼の醸成)
どんな議論もお互いに信頼関係がないとただの喧嘩になります。お互いに主張しあって、やがてお互いの立場と目的を理解して信頼関係ができます。

3.団結期(ビジョンの策定)
共通のゴールがなくては、行動計画が作れません。自分や自分の会社がこうなりたいという状態を全員がイメージできれば、自発的に活動できるスピーディなチームが生まれます。

4.進行期(役割分担)
お互いの得意分野を尊重しあい、役割分担を行うことで、効率的で英知を集めたすばらしい成果が生まれます。

5.変革期(成果と成長)
個人の持っている能力には限界があり、当初の仮説にはかならず間違いがあります。
自分ひとりの領域では壊せない壁をみんなで乗り越えて、新しいビジョンや、成果ややり方が誕生します。     
そして、その貴重な経験が次のチームワークへと受け継がれます。
サイボウズ株式会社  代表取締役 青野 慶久会社が危機に直面したとき、まさしく会社の中でこの動きが行われるのではないでしょうか。
まず、特別のプロジェクトチームが作られ、解決方法を話し合い、方針を決めます。
そして、それぞれが役割を決めて分担して作業して、危機を解決してゆきます。
最後は、すばらしい経験を残してチームは解散しますが、その経験は会社やメンバーの中に残り、予防策やより早い対処策を生み出します。

もちろん、最初からピンチが訪れないことが理想ですし、私もそうならないように経営を行っているつもりですが、人間の視野には限界があります。 やはり、予想を超えた何かがやってきたときのために、私も覚悟と手順は決めておかなければと思っています。

サイボウズを活用してピンチをチャンスに変えた実例

「ピンチをチャンスに変えろ!」とはよく言われる格言ですが、予想を超えた危機が突然降りかかってきたときに、グループウェアを使ってまさにお客様との信頼関係を強化した事例を紹介します。

サイボウズのホームページでも紹介している山崎文栄堂さんは、アスクルの販売代理店として第7位の売上高を誇る会社さんです。
順調な成長を続けている山崎文栄堂さんを襲った突然の危機は、少し前に新聞紙上をにぎわせた古紙配合率偽造問題でした。

信頼して仕入れを行ってきたアスクルの古紙でも偽造があり、製品が出荷できなくなりそうなことが判明したのは、新聞に記事が掲載される前日の夕方。
一気に社内が緊張に包まれたことは、想像に難くありません。

すぐさま関係者が招集され、対応方針が話し合われました。
急遽仕入先を変えるにも量が多すぎてそうもいきません。
そこで、対応方針は「注文を承れなくなったお客様へのお詫びのお電話を、業界で一番に行う」ことに決まりました。

「一番の早さ」が目標ですから、通常のコールセンターのスタッフだけではなく、全社員がこの業務に当たらなければなりません。
営業本部長は、電話対応シナリオを作成し、スタッフは最新の情報を収集して、どの製品が出荷停止になるか刻々と変わる状況を集約します。

その対応方法や、最新情報は、サイボウズの掲示板を使って即座に共有。
分担された名簿にしたがって、その掲示板を随時確認しながら社員全員が200件を超えるお客様へのお詫び連絡を新聞掲載されたその日に終えることができたそうです。

その結果として、解約はなんとゼロ件。
むしろすばやい連絡と情報提供への感謝の言葉を数多くいただき、お客様との信頼をより強固にできたとのことです。
「お詫びの連絡を一番に行う」という明確なゴールの設定や、社員全員での対応という方針も本当にすばらしいと思いますが、私としては、分刻みで変わる状況を正確にすばやく共有するツールとしてサイボウズがお役に立てた事がうれしいです。

離れ離れのときこそグループウェアの力

最近、たびたび新聞紙上をにぎわしているのが食の安全性にかかわる問題。

こちらになると、「わからない」という回答は「クロです」と同義になってしまいさらに深刻です。
食品メーカーが、問題になる材料を含んでいるかどうか「わからない」と回答した瞬間、全国のスーパーやコンビニの棚から一瞬で撤去されてしまう悪夢が待ち受けています。

全国のコンビニへ生洋菓子を卸しているある食品メーカーを襲ったのは、事故米混入問題でした。
関東、中部に4つの工場を持ち、地場から全国チェーンまで多くの得意先を抱えるこのメーカーでは、営業マンも全国に散在、事故米のニュースが流れた瞬間から全国レベルで商品撤去の危機にさらされました。

たくさんのルートを使って仕入れる材料のそれぞれに、絶対に全く混入していないと言い切れる営業マンはいません。ましてや食品ですから、得意先のお店も口先だけを信じて棚に並べておくわけにもいかないので、営業は信頼できる情報とそれを証明するものを一刻も早く入手して、得意先へ出向く必要があります。

もちろん本社へ営業マンを集めてなどと悠長なことは言っていられませんから、サイボウズのグループウェアがフル活用されました。

サイボウズ株式会社  代表取締役 青野 慶久情報システムを統括する常務が製造工程のトレーサビリティを行っているソフトをチェックして、いつ作ったお菓子にどの材料を使って、その材料がどういう経路で仕入れたものかをすぐに把握。
確認が取れ次第、それを掲示板に上げて全国の営業マンが拠点や携帯電話で見られるようにしました。

そして、安全性を証明する書類を作成して、社内メールで一斉配信するとともに書類に社判を押して得意先へ届ける指示を伝達。
やはり上記の事例と同様に、極めて短期間で事態を収拾しています。

もちろんお客様へすばやく行動という姿勢は一朝一夕にできるものではなく、普段の努力の賜物であると思います。
そしてグループウェアも普段から使い込んでいるからこそ、いざというときに力を発揮しているのでしょう。

チームワークをスピーディーに発揮するには、普段の信頼関係の構築とITによる情報共有が重要だということをこの2社から学ばせていただきました。


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