これからの資材調達(4)
会社名:株式会社プログレス・パートナーズ
投稿者名:シニア・マネージャ 阿部浩義
〜これからの資材調達の強化ポイント〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

これまで「調達市場」と「調達モデル」の重要性について述べてきましたが、では実際にどのような課題をクリアしていけばよいのでしょうか。
まずは、日常業務に引っ張られながら受動的に動いている調達部門を企画型に変えていくことです。具体的に強化する機能として、

  • 調達政策・方針をサプライヤに展開する際の基本的な考え方の企画
  • 経営方針・戦略・中期調達方針に沿った、外部より調達すべき「機能」のウェイト付け
  • 調達品目特性に合った調達市場の開発・育成・運用
  • 調達モデルによる「括りによる量のまとめ方」の企画・展開
  • 上記企画機能のセンター化による統制された調達(企画機能の集中化)

などがあげられます。
また、グローバル展開している企業においては、センターが企画した調達方針・市場・モデルに対して、調達エリア毎にコントロールする機能が必要になります。この機能がないと、各拠点毎の調達特性に対応できず、結果として、「企画はでき、データベースもあるが、拠点ごとに調達はバラバラ」ということになりかねません。エリア・コントロール機能は、全社調達戦略と各拠点の調達実務をつなぎ、統制上の重要な役割を持つことになります。国内で市場がクローズしている場合は、企画を担当するセンター部門がエリア・コントロールを行うことになります。
「良い調達市場」を持つという観点からは、バイヤーが調達コストに関して科学的な裏づけを持つことが重要です。
そして、これらを個人ノウハウとせず、組織の技術としてデータベース化すること、バイヤーが科学的なコストの裏づけを意識して商談に臨むことが重要です。

  • 自社−サプライヤにおける、量対コストの関係の明確化(量が増えるとなぜコストダウンできるのか?)
  • 積算(見積もり)モデル、ベンチマーク(比較)基準、購買コスト基準(購買品)の整備とデータベース化
  • 供給リスクの評価基準の体系化(依存率、経営品質、経済生産量、地政学的リスクなど)
もちろん、ただ作るだけではなく、陳腐化しないように運用まで含めた検討が必要です。
発注・納入指示などの実行業務(オペレーション業務とも言います)については、情報システムの活用によって効率化し、バイヤーのオペレーション業務の比率を下げていきます。また、調達モデルもモノコストだけではなく、自社の業務コストを削減することになります。その余剰パワーを調達市場/調達モデルを基に、製品開発の上流での原価の作りこみや、CSR調達など新しい調達統制要求への対応など、企画・管理といったより付加価値の高い機能にシフトしていくことが、これからの「強い調達」を作ることにつながります。