2009年新卒採用の現状レポート その3
会社名:株式会社ビジャスト総研
投稿者名:代表 藤野 定幸
知識だけの判断になっていませんか?
藤野 定幸  
   
 
知識だけの判断になっていませんか?



先日、「年収10倍アップ勉強法」「効率10倍アップする・新知的生産術」などの著者で、 何かと話題の勝間和代さんの講演会に参加する機会がありました。以前に勝間さんの著書である「決算書の暗号を解け」を拝読して、その読みやすさと解りやすさに驚きました。その時まで、私は財務関連の書籍は解りにくいものと思っていました。皆様も財務関連の書籍に苦しんだ経験があるのではないでしょうか。

なぜ、勝間さんの書籍が解りやすいのか。その秘密は「フレームワークの多様」にあるそうです。フレームワークとは「現実を認識するための仮定、概念、価値、習慣などの組み合わせ」で、それがあると、ものごとを判断・認識・決定するのがとても早く・正確に・効率的になるそうです。自分でフレームワークがつくれるようになるには、よいフレームワークにたくさん触れることが必要だと提唱されておりました。昔から言われる守破離の考え方です。



今回は新卒採用を実施したことがなかった企業様が新卒採用に踏み切った背景などを見ることで、新卒採用をはじめるかどうかの判断に必要なフレームワークを見ていきたいと思います。既に新卒採用を実施している企業様も、2009年後半戦、2010年スタートに向けて、今一度初心に帰る機会にして頂ければ幸いです。

昨年、新卒採用に踏み切った企業様の声をまとめてみました。

■新卒採用を実施する前の声

Q1 「新卒採用を検討した理由は?」
・社内活性化のため 
30.0%
・既存社員への影響
20.0%
・将来の幹部候補が欲しくて
20.0%
・中途採用がうまくいかないから
6.7%
・新卒に接触してみてよいと思ったから
3.3%
・組織構成のバランス
13.3%
・その他
6.7%


Q2 「現在まで新卒採用を行わなかった理由は?」
・まだ早いと思っていた 
36.4%
・当社を選んでくれる新卒はいないと思っていた
27.3%
・必要だとは思っていたがマンパワーが足りなかった
27.3%
・その他
9.1%


Q3 「新卒採用を実施する上で最も不安だったことは何ですか?」
・採用体制(マンパワー不足)
40.0%
・本当に採用できるか
33.3%
・受け入れ体制
26.7%
(n数=60社・ビジャスト総研調べ)


■採用活動実施後の声

Q1 「活動前に感じていた不安は現実のものとなりましたか?」
・思ったより問題にならなかった。まったく問題にならなかった
81.8%
・現実となった
18.2%


Q2 「最も採用したいと思った学生は採用できましたか?」
・採用できた
85.7%
・採用できなかった
14.3%


Q3 「新卒採用によって得られたメリットは何ですか?」
・社内が明るくなった
37.5%
・既存社員の意識が変わった
43.8%
・社内制度の整備が進んだ
12.5%
・その他
6.3%


Q4 「2008年度も新卒採用をご継続されますか?」
・継続する
100%
・考えていない
0%


アンケート結果を見てみると、経営戦略上、新卒採用に強くメリットを感じていながら、自社の採用力、人手不足、受け入れ体制などに漠然とした不安があり、実施に踏み切れなかったというのが読み取れます。
しかし、実際に活動してみると危惧していた事態に遭遇することなく採用活動を終えることができた企業様が多いようです。これは非常に勿体無いお話で、起こらないリスクを危惧するあまりメリットを享受する機会を逃してしまっている可能性が多いにあります。



新卒採用の実施を検討する場合は経営戦略上の新卒採用の目的を明確化することからはじめましょう。どんな人材が必要か?を社内で十分に議論してください。 そうすることで、新卒を採用することで得られる経営戦略上のメリットと、採用ターゲットを獲得するために必要となる様々な要素とコストを算出することができます。その比較をしてみると解るのですが、メリットのほうが遥かに大きい場合がほとんどです。

例えば、上記のアンケートでは新卒採用する前の不安として「マンパワー不足」のポイントが高くなっておりますが、マンパワーは外部を利用することで補うことが可能です。又、「当社を選んでくれる学生はいないと思っていた」と新卒採用をしなかった企業様の27.3%が答えています。ここは冷静に考えていただきたいのですが、現在働いている社員様は御社に何だかの魅力があるからこそ勤続しているし、社員様を含めたステークホルダーからの期待に応えているからこそ事業が継続していると言えます。どんな企業様にも必ず人材から選ばれるだけの魅力があるのです。

昨今、「新卒の売り手市場」「大手企業の大量採用」などの見出しで中小企業様にとって新卒採用を取り巻く環境が非常に厳しいといった情報を目にしない日はありません。それらのイメージや周囲の話だけを鵜呑みにしてしまってはせっかくの機会を逃します。

もちろん中小企業様が人材を採用することは簡単なことではありません。しかしながら、新卒採用においてはその難易度とリスクは必ずしも比例しませんし、経営戦略上得られるかもしれないメリットに比べれば、それはごくごく小さいものだと言っても過言ではありません。皆様もこれを機会に新卒採用を検討されてみては如何でしょうか。

3週に渡り、コラムをお読みいただき有難うございました。皆様の新卒採用のヒントに少しでもなっていることを願います。なお、コラムだけではお伝えしきれない情報なども多数ございます。採用に関する困りごとなどございましたらお声がけください。

 →株式会社ビジャスト総研の採用支援戦略をさらに詳しく

ビジャスト 藤野氏のスペシャリストコラム
(全3回)