スペシャル・コラム
 
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今そこにある危機に御社はどう対応しますか? その2
会社名:株式会社YACコンサルティング
投稿者名:代表取締役社長 矢川 孝次郎
〜人材育成と納得性の高い人事評価制度構築の秘訣とは〜
 
人材育成と納得性の高い人事評価制度構築の秘訣とは
−コラムニストの紹介−
■ 株式会社YACコンサルティング 代表取締役社長 矢川 孝次郎(やがわ こうじろう)
全国規模の派遣会社の人事部長として、事業計画の策定、組織整備、多様な雇用形態システムの整備をはじめ、いち早く事業計画連動型の給与・評価制度改革を実践。現在は、人事実務経験者の観点から、仕事等級制度を原則に個々の企業に合った給与・評価制度の構築をサポートしている。



(1) 成果主義の現状と課題
 1990年以降、従業員の人事評価、給与制度をどうすべきかが常に人事業務の課題となっています。社会経済生産性本部の調査によれば、調査対象の中堅・大手企業60%〜80%が成果主義の導入済みの状況にあります。しかし、運用に苦慮し、その半数の企業が修正を行っているという現状を考えれば、いまだ人事業務の中心に評価制度があることは明らかです。
 多くの企業が成果主義の導入に苦慮している理由として、「目標設定の曖昧さ」「人件費抑制を主眼とした制度構築」「従業員への説明不足」を上げていますが、何より経営者層や人事管理者が、経営における「人・組織のあり方」「経営資源としての人の役割」を整理・確立できていないことに最大の問題があり、採用・教育研修等人事全般にかかわる基本的な問題であるとの認識が重要です。

(2)人事評価制度構築の前提条件  
  企業の目標は、あくまで企業理念・経営計画の達成にあります。そして目標達成をするために組織、人事の役割、個々の従業員の目標管理が存在するはずです。そして人事評価制度は企業目標達成に向けた従業員の行動を促進するツールであると整理し、全社でこれを共通理解することが成功する制度構築の前提条件となります。つまり、「経営計画を達成するために約束した、行動目標を達成した従業員を評価する制度を構築する」という明確な定義を会社全体の認識とすることが最大のポイントとなります。人事評価制度を構築する上で、まず「何を目的として制度を構築するのか、そもそも人事の機能とは何か、組織は何のためにつくるのか」を経営に関連付けて理解し、具体的に何をなすべきかを考える必要があります。

(3)制度構築の手順と注意点  
  評価制度構築成功の秘訣は全員参加で評価制度を作り上げることにあります。制度を構築する手順とは、
【1】現状の正しい把握と分析(経営状況、組織、業務分掌、職位の機能、総額人件費枠の設定、経営者の考え、従業員の意識、業務フロー把握、分析等)
【2】あるべき組織、役割の構築
【3】職階、職種毎の望ましい成果、成功行動と達成に必要な能力(知識、技能習得等)の整理とまとめ
【4】評価項目の選定
【5】役割基準の設定
【6】個別目標管理体制の確立
の6段階で構成されます。それぞれの段階で、当事者たる当該職務を遂行している従業員が考え、整理し、推進当事者たる人事管理者が不明点を徹底的に具体化するためにヒヤリングを行い、ともに纏め上げることが全員参加型を意味します。制度導入成功企業の過程を振り返ってみれば、納得性、活性化はこの過程の中で醸成されています。また、その運用の中で採用、教育研修等人事の根幹となる「望まれる人材とその能力」が具体的かつ明確になっていき、経営と連動した人事諸施策が立案、遂行されています。

(4)成功の秘訣
 実は最大の成功の秘訣は、人事部門担当者の意識変革、つまり経営関連部門としての認識をもちかつ社内業務への詳細な理解を行うことにかかっています。そして何より制度定着に向けて、経営者と人事責任者が根気強く従業員をフォローしていくことが肝要です。


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